97年10月11日(土)晴
都民の森830…941三頭山955…1140月夜見山1155…1225小河内峠1230…
(1000) 71 (1531) 105 (△1147) 30 (1050) 51
御前山1321…1445鋸山1450…1550大岳山1600…鍋割山1643…(迷)…鍋割山1727
(△1405) 84 (1109) 60 (△1267) 43(・1084) 44
…1826御岳集落(ケーブル駅まで推定15分の場所)
59 (820)
体力度C 神経度C(「鍋割山…(迷)…鍋割山」が無ければB)
(歩行合計約9時間45分=「鍋割山…(迷)…鍋割山」を含む、
滝本…JR・御岳を含まず)
◇5万図 五日市
□筆者参考文献 「エアリアマップ 奥多摩」(昭文社)他
このころ、ちょっとした趣向があって、山頂の数を稼いでいました。今回の無理矢理山頂数稼ぎツアーは、「奥多摩主脈縦走路」として整備されている道です。かなりのロングコースで、日もだいぶ短くなってきたこのごろですから日没が心配されますが、大岳神社から先は懐中電灯があれば夜間でもほぼ安全に歩けるほどに整備されています。三頭山を10時に出たとして、大岳山まで6時間掛かったとしても16時で、まだ日没までには余裕があります。多少の遅延があったとしても、暗くなるまでに大岳山を越えることは、まず間違いがありません。その後のコースは縦走路なら夜間も含めて5〜6回は通った経験があり、しかも、御岳神社〜ケーブル駅一帯は、大きな山上集落(旅館等)になっていますので、万一の場合を考えても心強いのです。 ◎三頭山へ 以前、御前山から下ったときは、西原峠経由でしたが、今回の計画は距離もぐっと伸びるので、JR五日市線・五日市駅から都民の森までタクシーを奮発。 都民の森からは、前回通行禁止だった大滝経由の道を辿って1時間ほどで、笹尾根最上部のムシカリ峠に達し、更に右手へひと登りで三頭山山頂(昔の西峰)です。 都民の森・森林館から大滝までは、ほぼ平坦なウッドチップの遊歩道で、その先も三頭沢の渓相を楽しみながらの比較的緩やかな登りで、山頂まで難なく達することが出来ます。 この3連休で一番天気がいいと予想されたこの日でしたが、気温が上がったせいかモヤのため、富士山は見えず、手前の三ッ峠も薄く霞んでいました。それどころか目の前の権現山さえシルエットとしか見えません。 ◎三頭山〜小河内峠 三頭山から鞘口峠(数馬峠)まで400m近く下ります。そこから登り返して小さなコブをいくつか越えると右手に砥(といし)山へ分岐する道があります。木段の道を登った先、山頂の30mほど手前でこの道は右手に逸れてしまいますので、「進入禁止」の標識がある藪道へこっそり入っていくと、金網で囲まれた施設の左手が砥山の山頂で、それを示す標識も2枚ありました。この先、尾根伝いに行けば縦走路に出合うでしょうが、まだ藪漕ぎの季節には早いので、先ほどの分岐まで3分ほど戻りました。 この辺は奥多摩自動車道が近いので、バイクが爆走する音がチェーンソウのように響きます。筆者手持ちのエアリアマップでは、自動車道は尾根の東側を通っていて、月夜見山の先で渡るまで、縦走路には出合わない事になっていますが、実際には月夜見山までに2度稜線上で接します。特に1度目は道路の西側が切れ落ちていて歩道がないので、100mほどビビりながらの車道歩きを強いられました。ここは、鹿倉山方面の展望がよいので、車を気にしながら写真撮影。 月夜見山へ向かう車道より丹波川上流の山々。月夜見山も、展望のない地味なピークでした。およよよよ。もう12時近い。ここから御前山まで1時間では到底無理。御前山に12時半過ぎに着いて、13時までゆっくり休憩するという甘い夢は脆くも潰え去りました。 非道いことに、月夜見山から下り出合った自動車道を渡った先でコース途切れ、車道を月夜見第2駐車場まで200mほど都民の森方向へ戻らなければなりませんでした。 駐車場からは、尾根上の広い道を御前山方向へ下って行きました。最低鞍部の標高は1000mを割りますので、御前山まで400m登り返さなくてはいけません。防火帯らしき(ただし、所々立木あり)広い道を小さな上下をしながら登っていくと、ほどなく、正面に鷹ノ巣山方面が望めるベンチもあって、小休止に絶好の小河内峠です。 小河内峠より石尾根方面。◎小河内峠〜御前山 ここから先は、三頭山周辺に比べて出会う人も少なく、静かな山歩きが楽しめます。御前山に向かって序々に登って行く防火帯(?)の尾根道からは、振り返れば三頭山が大きく望まれますが、今日は霞み気味です。 白いスーパーバッグ(スーパーマーケット等で買った物を入れるために寄こすポリ袋)をぶら下げた人3名発見。山菜採りでしょう。付近には100mおきくらいに、「許可無く、植物・昆虫等の採取をする事を禁じます」の表示があり、その真ん前で採っているのですから、確信犯です。防火帯(?)は、その全幅8〜10mに亘って草をきれいに刈り取らた跡が残っており、山菜採り氏曰く「もったいないなぁ」。防火上必要があって刈り取ったということであれば、「採取禁止」と矛盾しないのでしょうが、そういう理屈は山菜採り氏には、理解出来ないのでしょう。 前衛峰の惣岳山あたりからまた人影が増え出します。意外にあっけなく登り着いた御前山山頂は、雰囲気は悪くないのですが、人出が多いのを嫌い、三角点を踏みつけただけで通過。 ◎御前山〜大岳山 御前山からいくつか分岐を見送って、ひとしきり下り、少し登ったピークには、ベンチもあり、ここで小休止。無名峰かと思っていたら、木に「クロノ尾山」と書いてありました。1山儲け!。 その先の鞘口山には、なんと2〜3家族の団体がくつろいでいました。林道が乗っ越しているので、この辺から大ダワにかけて、またまたマイカー族らしき人出が増えて来ます。 大ダワへ下って林道を横切り、少し登り返すと鋸山の分岐で、縦走路は南面を巻きますが、当然寄っていきます。急登を経て出た鋸尾根を少し大岳山寄りに登った鋸山は、もう15時45分にもなるのに、大岳山から奥多摩へ下って行く人々がまだ絶えません。 大岳山方面へ急降下して、縦走路を行きます。この辺はやや単調ですが、右手が雑木林で、気分は悪くありません。大岳山の山頂ドームが近付いて来たところに、ベンチの置かれたピークがありましたが、山頂名の表示がありません。しかし、名のありそうなピークなので、帰宅後ガイドブックを調べて、「中岩山」と判明。 大岳山への登りは、両手動員の急登で、主に足が疲労している身としては、気分的に助かります。さすがの銀座通り大岳山も、この時刻、筆者一人でした。 ◎大岳山〜御嶽駅 何とか、休憩後、16時に発てる時刻に大岳山に到着出来、一安心。御岳ケーブル駅へまで歩けば、ケーブル・バスと乗り継いでJR青梅線・御嶽駅から帰路に就くことが出来る筈です。ケーブル等を下りに使うのは勿体ないのですが、今回は時間的にその方が良さそうです。縦走路を辿れば1時間20分ほどでケーブル御岳山駅ですが、これは、主稜の対岸(高岩山側)を谷沿いに行き、沢を渡り返して山腹を主稜の御岳山方面に戻って来るルートなので、もう山頂が稼げません。そこで、今回は尾根通しに、鍋割山、奥ノ院(=男具那峰;この峰か御岳神社929m峰どちらかで、御岳山1山とカウントする)と2山稼いで行くことにします。距離的にも縦走路とそれほど変わりませんし、登りも僅かなので休憩込みでも30分増し位に見ておけば十分。18時前には、確実にケーブル駅に着くものと確信したのですが………。予想外の悲劇はこの後やって来ました。 大岳神社まで急降下、そこから露岩帯を鉄の階段で乗り越えれば、あとは穏やかな山腹道。左手を平行する主稜が低くなってやがて、鍋割山への分岐道へ入ります。 縦走路よりは、道幅が狭くなりますが、明瞭な道を登って、3つ目位のピークに「鍋割山」の標識がありました。「さあ、次は、奥の院だ」と直進して行きます。左手には、夕日が赤く輝いています。しかし、どうも道が細いし、藪っぽい。鍋割山まで戻って確認すべきでしたが、疲れていたんですね、目印の赤テープは要所要所にあるし、もう100m近くも下っているので登りたくない、たとえ枝道へ入っていたとしてもここは御岳山、やがては御岳神社を取り巻く明瞭な道に出合うだろう、なんて甘いことを考えて先に進むと、やがて道は消えてしまいました。「やっぱり、戻ろう」と引き返しました。このまま、鍋割山まで引き返せばまだ幸せだったのですが……。 30mほど引き返すと、下り口の赤テープ発見。「なんだ、こっちだったのか、これを下って行けば、右の主稜線に巻き戻るのだろう」なんて、今考えれば信じられないようなギャンブルに出たのです。細い道ながらも、赤テープ等は、順次現れます。やがて、目の前が開けて、一面ススキの原に出ました。両側からススキを被っていますが、道ははっきりしていたので、藪をかき分けながら進むと、道は全く右手の主稜方面へ曲がる気配はなく、しかもますます不明瞭になって行くのでした。およよよよ。今、まさにに日が沈まんとしています。決断の時でした。 大楢峠方面への尾根に入ってしまったようですが、2kmも先の大楢峠まで、道が続いているという保証もない藪の中を、夜間このまま強行突破することは、危険ですし、体力も続かないでしょう。もう、戻ることにしました。それも、縦走コースまで。鍋割山まで登り返すのも、くたくたできついのですが、もう薄暗くなって来たのでぐずぐずしていられません。もし、闇夜になってしまうと懐中電灯では、視界の一部しか照らせませんので、道を外す恐れがあります。残照のあるうちに、縦走路まで戻らなくては。夕暮れ時、鍋割山まで戻るのも一筋縄では行かない道でした。 鍋割山に着いてみると、ありました。奥ノ院への本当の道が。「さっきはなんでこんなはっきりしたのを見落としたんだろう?」と、自身の不明を呪いました。しかし、もうこの期に及んで、未知の道へ入るようなギャンブルはできません。奥ノ院は断念して、更に15分ほど縦走路まで戻りました。もう、すっかり暗くなって来たので懐中電灯を出します。トホホホホ、まだこんな山の中で懐中電灯を使う羽目になるとは…。でも、とりあえずここまで来れば一安心。もうどうせ日も暮れてしまったので、焦っても仕方ありません。御岳集落まで慎重に歩を進めます。 御岳集落が近付くと、ちまちまと窓の灯が見えてきて勇気づけてくれます。木が被ってないところでは、月明かりも意外に役に立ちました。しかし、今日、山上から下界の夜景が楽しめるとは想像もしていませんでした。 集落に入ると街灯があり、懐中電灯は消すことが出来ました。地元の人が歩いていたので、「ケーブルの終電は?」と訪ねると「6時半」との答え。時計を見るともう、18時24分でした。表参道を40分歩いて下ることを覚悟して歩を進めると、後方からヘッドライト。よけようとすると、さっきの人が運転するスクーターでした「まだ間に合います。後ろに乗って下さい。」 スクーターは、3分ほどで、ケーブル駅に。ジャスト18時30分です。スクーター氏にお礼を言う間もなく駅に飛び込んで、ケーブルの最終便に乗ることが出来ました。 しかし、ラッキーは、ここまで。ケーブル山麓駅の滝本からの終バスは、18時15分に既に出ていて、JR・御嶽駅までは、40分ほど、クタクタ・トボトボと歩く事となりました。 でも、無事帰れて良かった。判断ミスを反省しつつも、幸福感を感じたのでした。もしかして、好展望やいい空気、美しい渓相や植生、達成感等に加えて、無事帰り着いたときの安堵感が山へ登る楽しみの一つだったりして。 ▲項目索引▲ ◎トップページへ戻る◎ |