1999年11月14日(日)快晴
JR・猿橋905…厄王山1000…1010御前山1028…1049沢井ノ頭1055…1136菊花山1155
(330) 55 (580) 10 (730) 21 (750) 41 (・644)
…1235大月
40 (360)
体力度A+ 神経度B(歩行合計約3時間05分)
◇5万図 都留
中央線・大月の南方の神楽山−九鬼山のコースは、最近ではポピュラーな縦走路になっていますが、その途中、沢井ノ頭付近から北西に突出た支尾根上の小ピーク・菊花山は地元の人以外には余り知られていないと思います。このコースは、いつも整備されて指導標も完備したコースばかり歩いている人、あるいはいつもコースの判断を同行者任せにしている人にはやや手強いと思いますが、歩程が短いので、日が短くても朝から登り始めれば、道を誤ったと思ったら何度か引返して試行錯誤しても日没の心配はなく、草の枯れて尚且つ雪のない季節には、単独行によるルートファインディング入門コースとして好適だと思います。 実は、筆者は、この2週前に、三ッ峠のバリエーションルート仮称東尾根を目指して、富士急行・東桂から湯ノ沢峠への林道で十数頭の野犬に出合い、ビビって引返して、その帰り折角なので猿橋で下車して比較的歩程が短いこのコースへ入ったのでした。しかし、歩き出したのが正午ごろだったので焦っていて何度か道を間違え、最終的にも菊花山に到達することなく下山するハメになってしまいました。と言うことで、本日、再挑戦です。 すっかり近代化された猿橋駅の南口を出て西進すると右手から線路を渡ってきた国道20号に合流します。猿橋駅北口から国道20号沿いに来たと思われる十数人の中高年団体の後ろについてしまいました。日曜日とはいえ、まさかこのコースを団体が行くとは思えませんでしたが、取敢ず追い抜きます。大パーティーは足が揃いませんから、追い抜いてある程度距離を空けてしまえば、追いつかれる心配なく、のんびり静かな一人旅が楽しめる筈です。 20分程で「御前山」の指導標と「厄王山」の石標があるので左に入り、すぐ右後ろから合流する簡易舗装道を登って行きます。沢沿いの道が左に橋を渡ると朽ちかけた一の鳥居があり、ここから山道となります。 登り始めると、まさかこっちには来ないと思っていた先程の団体が鳥居付近に到達しているのが見えましたが登りならますます差がつくと思われるので安心です。沢沿いに山腹を行く道は、源頭部近くではジグザグとなり、二の鳥居のある支尾根鞍部へ登り着きます。そこからは、始め尾根を右手から巻いて、更にジグザグに登ります。やがて、小さな尾根の上に出ると、菊花山が見下ろせます。露岩も出た尾根道を登ると厄王山(岩室のような祠)の前を通り過ぎます。足場の悪い道を数十m行くと、そのまま山腹を巻いていく道と、左へ厄王山−御前山の尾根に取付く道に二分します。前回は、左折したらやや難路だったため、万一行き止まりだったら下りに数倍時間がかかりそうだったので、すぐ引返して巻道へ行ってしまいました。巻道は、御前山より九鬼山寄りで縦走コースに出てしまうので、戻るように御前山を往復することになりました。今回は時間があるので左折して直登を目指します。道も定かでなく藪っぽい急斜面を両手動員で登ると厄王山−御前山の尾根に取付く事が出来ました。この尾根上には藪っぽいものの、はっきりした道がついていましたので、厄王山からはもう少し明瞭なルートがあるのかも知れません。この尾根道を緩く登っていくと神楽山−九鬼山のコースと交差して、その先僅かな登りで御前山(御前岩)に登り着きました。 御前山山頂から九鬼山方面。御前山の頂上は露岩になっていて、5万図に崖の記号はないものの、南面は50mくらい切れ落ちています。ここは、岩と松というおあつらえ向きの場所で、展望も抜群なのです。快晴なものの生憎薄いモヤが覆っていて、余り明瞭な眺めではありませんが、九鬼山へ続く稜線の上に富士山、前道志、道志等の方面の眺めを楽しむ事が出来ました。先程の団体が迫ってきたので、ここを辞します。 ここから、沢井ノ頭までは、神楽山−九鬼山の縦走コースを行きます。僅かな急降下の後、露岩を左手から巻いて、次のピークからは御前山を振り返る事が出来ます。比較物が何もないと小さな岩に見えますが、山頂に人の姿を見いだすと南面は50mくらい切れ落ちていて、上部20m程がほぼ垂直、下部も60゜以上の傾斜であることが確認できます。 九鬼山への縦走路から菊花山(左手前)と岩殿山(右中)。次のピークから沢井ノ頭への鞍部付近は伐採地になっていて、岩殿山や南大菩薩方面の眺めが素晴らしく、沢井ノ頭手前−菊花山の尾根もよく見えます。鞍部から沢井ノ頭への登りに入ると右手に菊花山へ続く尾根へのショートカットとなる巻道があります。前回はここを行きましたが、進むに従って藪も濃くなりルート不明瞭、足元も一歩毎に10pもずり落ちるようなフカフカの道で余り快適ではありませんでした。今回は時間も十分にあるので、沢井ノ頭へ寄って行くことにしました。しばらく登ると目的の尾根が右に分岐します。ここから沢井ノ頭の頂上へは片道3分程でしたが、細長くてあまり頂上らしくなく、木立に囲まれて展望はありませんでした。 分岐に戻って菊花山へ続く尾根を下ります。始めの下り道は伐採されていて、厄王山〜御前山の尾根の様子もよく見えます。沢井ノ頭への往復中に例の団体に先を越されてしまいましたが、下りが一段落して反射板施設のある小平地で追い抜くことが出来、以後山中では人に出会わなくて済みました。尾根沿いに下っていくとやがて尾根が分岐する所でいい道は左方へ下っていきますが、前回はこれに入って菊花山に登り損ねたまま沢井集落へ下山してしまいました。正面の藪道が正解です。倒木があったり所々不明瞭になる道ですが、尾根をあまり外さないように行けば時々赤テープ等があって安堵します。尾根上はあまりに藪が深いので数メートル右に外れる箇所もあります。しばらく展望が全くない状態が続くので、やがて登りに転じたことで鞍部を通過した事を知ります。鞍部からは20分ほどの登りで緩いピークを1つ越えて露岩の菊花山に到達しました。 狭い山頂は、稚児落し方面が樹木で塞がれているものの、素晴らしい展望です。南面は、神楽山−九鬼山の縦走コースの稜線がここより高いので、それより遠くは一部しか見えませんが、西−北−東へは遠望出来ます。滝子山は立派に見えますし、南大菩薩から奥多摩三頭山方面、百蔵山、権現山、扇山へと大パノラマは広がり、足下の大月市街と岩殿山は近く手に取るように眺められます。 大月への下りは山頂より一段下った岩稜をわずか行った後、急降下します。大月市内からは正午の鐘の音や運動クラブ活動の子供達らしき叫び声が聞こえます。やがて、尾根が広くなったら左方にルートを発見し、不明瞭な所は出来るだけ忠実に尾根を辿っていくとはっきりした道に突き当たるので、右へ下っていきます。戦没者の記念碑を過ぎて墓地の所で市街地に出たら、岩殿山を目印にしながら大月駅まであと僅かです。 短いコースでしたが、交通の便も良く好展望やルートファインディング等、楽しみの凝縮されたハイキングを満喫しました。 ▲項目索引▲ ◎トップページへ戻る◎ |