斧窪御前山(中央線)



                     2002年 1月 5日(土)曇一時雪

JR中央線・梁川941…1007大田峠1010…1052三九号鉄塔1055…ヨソ木山1121…
     (290)  26  (410)   42    (550)   26 (・538)  38

1159御前山1202…1238梁川
 (△523)   36  (290)

                  体力度B- 神経度C- (歩行合計約2時間50分)
               (天候の心配がなくハンターもいなければ神経度B)
◇2.5万図 上野原
□筆者参考文献 「山便り 斧窪御前山」(朝日新聞夕刊「マリオン」所載) 


 2.5万図「上野原」には、中央線に沿って小さな御前山が3つ載っていますが、そのうち梁川駅のすぐ西にあるのが今回行った斧窪御前山です。往復するだけでは如何にもあっけなさそうな小さな山ですが、数年前、新聞にこの山を廻るコースが紹介されていたのを切り抜いて2.5万図「上野原」の裏に貼り付けてあったので、3日前に近くの寺山に行ったばかりではありますが、今こそこの辺の藪山ハイキングに好適な季節でもあり、行ってみる事にしました。
 この連載新聞記事には概念図がなく、記述も大雑把な事が多いので、予め記事の記述を地形図と照らし合わせて図上で予定ルートの確認をしておきます。以前、記事の記述が5万図と合わないまま、大月の花咲山へ出掛けて、登山口にさえ行けなかったことがあります。その記事には「駅前から右へ」と書かれていたのですが、それで西へ行ったら、全く逆でした。大月駅は改札口が南側なので、右と言えば西なのですが、この記事の筆者は山が線路の北側にあるため、渡線橋を渡った北側からの出発を念頭に執筆したようです。その辺の説明がないし、山頂も、登山口にあたる尾根の末端も駅より西側にあるので誤解してしまったわけですが、実際はいきなり西へ行かず、僅かに東へ行ったあと左へカーブして、回り込んで行くのでした。校閲者も現地でのトレースなどしていないのでしょう。
 今回のコースについては、図上でのルートをすぐに予測することが出来ました。ただし「記述のない中間部分は尾根通し」と仮定しての話で、記事にそのような記述はなく、「高さはさほどでないが地形は複雑で、倒れた竹ややぶが濃く、踏み跡すらないことも。特に39号鉄塔までは地図とコンパスを頼りの山行だ。」という調子です。記事全体の字数もそれ程多くないのに、呆れることに、これだけ書いてある中で具体的に参考になる記述は「39号鉄塔」だけです。これも、地形図には送電線が記されているだけなので、その屈曲点や尾根との交点に鉄塔の存在を推測するしかなく、鉄塔の番号までは分らないので、最終的には現地での確認となります。まさか、トレースする読者のルートファインディングの楽しみを奪わないためにわざと解りにくく書いていると言うことはないと思いますが(^^;)。

 当日朝、東京は晴れていましたが、梁川駅の下をくぐり北側に出ると、小雨がぱらつき出します。予報では、一時的なもので、大崩れはないはずなので傘をさして車道を西へ。上下線の線路が分かれるところより更に先へ進み、下り気味に右カーブ、その先車道が登って行く左カーブの右手に「大田」の指導標があり、階段から始まる山道に入ります。階段が終わると早くも笹や倒木が現れ始め、傘を指しながらでは歩きにくいので天候次第では引き返そうと思いましたが、やがて大田峠と思われる平坦な鞍部に着いた頃、雨も止みましたので傘を畳んで、乗っ越して大田方面へ行く道と分かれ、左の尾根道へ入りました。
 ここから先、赤テープ等の目印が要所にあり、ルートファインディングというより赤テープファインディングでした。道がわかりやすい所は道なりに行き、解りにくくなったら赤テープ等の目印を探す、目印も見つからなかったら尾根上を行くという要領です。
 この辺ではたまに晴れ間から陽が射しますので、雨で暗くなりかけた気分は回復。ただし、笹藪、あるいは倒木がひどい場所はひっきりなしに現れます。やがて着く平らな鞍部は植林地で中央道のトンネルの真上。ここも赤テープを見付けないと次へのルートが判りにくい所です。ここから先も相変わらず藪道ですが、左には御前山の向うに倉岳山、高畑山、大桑山などが見える所もあります。右の樹間の先はゴルフ場です。


 御前山の向うに倉岳山、高畑山、大桑山。


 やがて藪のない道に合流しますので左へ行けば待望の39号鉄塔。予想したとおり図上550m等高線で囲まれたピークにあり、ここが本日の最高点です。この辺の送電線は奥武蔵で見慣れた東電のものではなく、JRの「上野原−大月線」です。
 39号鉄塔から次のピークまでは1分少々ですが、左に分岐する尾根は一段下がったところから始まりますので、ピークの手前から左折する下り道がその尾根への道であることがすぐには確信できず、ピークの先まで往復して他にそれらしき道が無いことを確認して来てから入りました。
 この道は始め凹んだ山腹を下って行く感じですが、やがて明瞭な尾根となり40号鉄塔に着きます。すぐ先の鉄塔は梁川分岐1号です。この辺の雑木の尾根は明るくていい気分に浸っていると、前方から鉄砲を持った危ない人が近付いて来ます。「こんにちは」と挨拶すると彼は歴史ドラマの官憲口調で「イノシシを追っているから藪にはいらないように」と命令します。まるで藪に入ったら撃たれても当然と言った口調なので非常にムカツきましたが相手は鉄砲を持っていますから早々に遠ざかります。直接撃たれなくとも、ハンターに追われたイノシシが道に出てきてハイカーを襲うこともあるので、とにかく一刻でも早く離れないと!。
 それにしても、日本が平和なのは、民間人が銃を持たない事が大きな要因なのに、何で彼らに銃を持たせることを許可しているのか疑問です。猟銃なんて許可するから三菱銀行梅川事件みたいなのも起こります。ましてや、こんな都会の近くの里山での日常的な発砲を許す必要など、どこにあるのでしょう。
 緩く上下した後、急登しばしで登り着いた22号鉄塔ピーク(538m)はヨソ木山です。鉄塔は右手ですが、尾根通しのルートは左です。50mくらい明るくて平坦な尾根道を行った後、木につかまっての急降下。いつの間にやら雲行きが怪しくなり小雪もチラツき出して、「エスケープルートがあったら退却しようか」なんて考え始めます。送電線と別れたため、この辺から御前山までは再び赤テープを頼りながらの藪道となります。
 やがて中央道のトンネルの上の鞍部付近、右から合わさる道にハンター発見。更に、その先で別のハンターともすれ違い、雲行きが怪しい事も相まって緊張感は高まり、自然と歩調も速まります。その勢いで、次の登りの手前から左への巻き道に入ってしまいましたが、谷の方へずり落ちそうな道ですし、次の御前山との鞍部にまで繋がっているという保証もなく、道を失って藪を強引に行こうものなら鉄砲でズドンという恐怖もあります。道が崩れているところが現れたのを契機に引き返し、尾根伝いの道を発見してそちらを行きます。ひとしきり登り切ったら左へ折れて、後は鞍部を経て御前山へ登るのみです。
 積もりそうな密度ではないものの、雪も勢いも少し増してきて、また、後ろからハンターに追われているような恐怖感もあり、御前山への登りもかなり焦って長く感じます。御前山から斧窪への下り道も未知のルートてすから万一雪が覆ってはヤバいかも知れないので、早めに下りたい訳です。
 急登を経てやっと御前山に登り着きます。ここは非常に展望の良いとろです。目の前の寺山が目立ちますが、大月方面も小雪がちらつく天候ながら、高川山まで何とか見えます。しかし、雲行きはますます怪しく、長居する気分ではありません。早々に下りにかかります。


 斧窪御前山より大月方面。


 この下りについても新聞記事の記述は、「下りは一本道で斧窪集落に出る。駅は近い。」という曖昧なものですから、まず下り口を探さなければなりませんが、斧窪集落の方角である東に向かう道はありません。特に記述されていないということは、道也と言うことと解釈して、南へ行くと、下り道になって来ます。方向が違う気がしましたが神社もあり、やがて道は東寄りに向きを変えたので一安心。この道を往復する人が多いと見えて、急な所はあるものの、藪はない普通の山道でした。25分くらいで下り切り、中央線下り線の北側に沿う道に出ます。ここはもう雪が降っていません。
 左へ線路沿いに梁川駅を目指します。上り線が左側から合流する手前の川の所で下り線の下をくぐって南側のR20に出て、梁川駅に戻りました。(上り線の北側に出て、今朝来た道を戻る事も出来ます。)ホームへ駆け込むと、ちょうど出発しようとしてドアが閉まりかけていた高尾行に2〜3秒待って貰って飛び乗りました(^^;)。

 3時間に満たない半日コースながら、非常に充実した山歩きが出来ましたが、折角行くなら完全に晴れている日を選んだ方が展望ももっと楽しめて良いでしょう。だだし、遠距離からは攻撃できないクマやイノシシより場合によっては恐ろしい存在であるハンターの出没は痛い所です。



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