文台山〜尾崎山(富士急沿線)



                     2002年12月15日(日)晴

富士急行線・谷村町920…細野BS1043…峠1117…1231文台山東峰1240…
      (480)    83 (620)    34(820) 74        (1205)     5

1245文台山三角点(西峰)1255…930m峰1405…1428尾崎山1436…1540東桂
       (△1199)    70       23   (△968)    64  (560)

                  体力度B- 神経度B- (歩行合計約6時間10分)
◇5万図 都留
□筆者参考文献 ウエブページ「山旅/文台山2」(長沢洋)

 文台山は御正体山が富士急線の方面に伸びた尾根上の双耳峰で、更に尾根の末端のピークが尾崎山です。細野から登り、文台山、尾崎山と尾根を辿って東桂へ降りるのは静かな山歩きが期待できる手頃な日帰りコースと言うことで出掛けてみました。
 文台山の存在は「遊歩百山10」(森林書房)の「文台山・尾崎山」を見て知りました。それによると執筆者の長沢洋氏が都留文科大学の学生だった頃、学生達は形が尻に似ている事から通称「ケツ山」と呼んでいたそうです。この山に登るにあたってウエブを検索したら、「東京周辺の山350」(山と渓谷社)のために長沢氏が執筆したガイド文がありました。(没。その近辺では倉見山を掲載。)

 中央線の電車が八王子あたりに来ると、数日前に降った雪が結構残っているのが車窓から目立ちました。「平地でも残ってるのだから山では更に…」と考えるとちょっと不安でしたが、数日前に買ったハイキング靴(軽量トレッキングシューズ)の性能を試すのには良い機会だとも思いました。
 その靴(中国製)は税抜き3900円と従来から使っているホーキンスやハイテク等のアジア製品(5000〜7000円)より更に安く、しかも「8cmの高さまで完全防水」を謳っているのです。雪山へ行くつもりはないのですが、思わぬ雪道に出合ったときには心強そうです。底には折り畳み式のスパイクも付いていて、「こいつは買いだ!」と買ってしまったのです。昔の「キャラバンシューズ」にはスパイクが付いていましたが、岩や木では却って滑ったりするためか、その後の殆どのハイキング靴からはスパイクは消えました。しかし折り畳み式なら雪道だけ出して、滑り止めとして役に立ちそうです。
 当日、朝家を出て歩いてみてガッカリ。くるぶしまでの高さもあり見た目はホーキンスやハイテク等と同じ種類の靴なのですが靴底が普通の運動靴のようにふにゃふにゃなのです。軽量トレッキングシューズの軽量トレッキングシューズたる所以は、石がゴロゴロした場所の下りでも痛くないように靴底が硬く、その割には登山靴やキャラバンシューズのようには重くない事にあります。こりゃインチキだ(T_T)。しかも足を入れる部分が袋状に分離していて、歩く度にその外側の部分と微妙に擦れる「みしっみしっ」という音と感覚がちょっと気色悪いのです。
 しかし、実際雪道を歩くと、スパイクの威力は判らなかったものの防水性は確かでしたし、グリップ、フィーリングとも悪くありません。ただ、こういう感覚の靴は以前履いた覚えがありました。そう、スキー場へ出入りするときに履いた「スノトレ」というものです。この靴は、見た目は軽量トレッキングシューズでも、実態はスノトレだったようです(^^;)。
 それとは別に、突然現れたアイスバーンへの備えとして、滑り止め(簡易アイゼン)を買いました。以前買った「X型4本爪」は靴への装着方法が難しすぎたので(と言うか、解らなかった(^^;))ので使わず仕舞いでした。そこで、今回は、土踏まずに着けるスパイク状のものを買ってきました。しかし、この日は天気予報通り午後の気温が高かったので、北面の下り道にも凍結箇所がなく、簡易アイゼンの出番はありませんでした(^^)。
 登山口の細野へは富士急線・都留市からバスが便利ですが、出掛けたのが遅かったので、幸便は出てしまい、次のバスまでかなりありそうだったので、一つ先の谷村町駅から歩くことにしました。バス通りを右へ行き道志方面を示す標識に従って左折、自動車用の左側にある歩行者用のトンネルをくぐってまた標識に従って右折すると正面に文台山が見えます。この辺で月夜野行きのバスに追い抜かれました。「そんなのあったんか!?」(T_T)。


 トンネルをくぐって右折した道より御正体山と文台山。


 どうせ歩くなら近道がしたいもの。細野からの登山道が登り着く矢花山(880)との鞍部は峠になっていてその先は上小野へ降りて来ている筈です。谷村町から細野へは、上小野から矢花山の東側を回り込んだ向う側になりますので、当然手前の上小野から登る方が近いのです。地形図を見て登り口がありそうな場所、谷の入口に行き、2〜3本の小径に突っ込んでみましたが、通行止めだったり、民家へ通じるものだったりして先へ行けません。結局は諦めて細野まで歩くことにしましたが、峠道があったとしても、北面で雪が深く、既に踏まれていなければ、通行困難で引き返していたでしょう(^^;)。
 今回は寄り道したので少し余計に時間が掛かりましたが、谷村町駅から細野BSまで直接来れば徒歩1時間くらいでしょう。細野への道で見えた御正体山から文台山へ繋がる尾根は鋸歯状で、大いに登高欲をそそられます。雪のない時期に都留市発8時のバスを使って御正体入口から文台山方面への分岐ピークに登り、鋸歯状の尾根を伝って文台山へ行き、下りは例の鞍部から上小野への峠道を試すというプランが思いつきます。問題は鋸歯状の尾根が通行可能かどうかですが、調べた限りでは、何とかハイカーでも通れそうです。
 細野BSのすぐ先、落合橋を渡って右折すれば7分くらいで御岳神社に着き、文台山を示す指導標が始まります。指導標は山頂まで完備していますので、迷う恐れはまずありません。尾根に登り着いた例の鞍部からは、確かに反対方面への道が下っていて、ここが峠になっていることが確認出来ました。ここから文台山への尾根道は一本道です。上部は雑木林でいい気分の道です。雪は上に行くほど厚く、所によって10cmくらいありましたが、完全に踏まれていたので、一部の箇所でビビる他は特に問題はありませんでした。
 登り着いた東峰には、山頂を示す標識はなく「文台山まで5分」の標識があるだけですが、三角点峰より数m高く、五万図には1200mの等高線が描かれています。開けた展望はなく樹間から御正体山や鹿留山を見ますが、富士山は鹿留山に隠されて山頂付近しか見えません。
 5分先の三角点峰も似た感じですが、「文台山山頂見晴台」の標識があるためか、都留市方面だけほんの少し伐採されています。
 さて、ここから尾崎山方面への道は北面の比高300mもの急降下から始まりますので、雪が踏まれていなかったらこのまま往路を引き返そうと思っていたのですが、何故か今まで以上にはっきりとした雪の踏跡があったので予定通り尾崎山を目指す事にしました。


 文台山からの北面の道は雪が完全に踏まれていた。


 最初の鞍部までかなりの下りの後、登り返した二つくらい先のピークの先は右側が伐採地になっていて、北から東にかけてすっきりした展望が広がります。北西の樹間に三ツ峠やこれから向かう尾崎山への尾根、北に南大菩薩の滝子山、黒岳、雁ヶ腹摺山、近くには高川山や九鬼山から右に連なる前道志の山々。その向うに笹尾根、更に右手には大きく今倉山。少し下って東側につき出た支尾根に乗れば文台山の双耳峰を振返ることも出来ました。


   伐採地からのパノラマ。


 その先930m峰への道は2箇所ほどぐちょぐちょで滑りやすい急登がありましたが、木や木の根など掴む所は豊富。930m峰から左へ屈曲し下った後、尾崎山へは藪の中を緩やかに登って行きます。


 930mピークから三ツ峠の手前に尾崎山。


 尾崎山からの下りもいい感じの樹間の道で、アンテナの所からは、九鬼山方面の展望が開けます。アンテナから先は、そのケーブルに沿って急降下、やがて穏やかな道となり、しばしで古渡に降り着きます。
 はじめ清流の左側に沿って行き、川が右へ曲がっても直進すれば国道に出て、少し左へ進めば東桂の駅の入口です。

 今回、山中で一人の人にも会いませんでした。山中殆どずっと雪はあったものの、よく踏まれていたので予定コースタイム(無雪期)の2割り増しくらいで済みました。



▲項目索引▲
◎トップページへ戻る◎