雷電山・仙元山(比企)



                          2003年1月5日(日)晴

(東武東上線・越生よりバス)役場前BS930…1050雷電山1100…日影BS1143…
               (100) 80  (△418)     43  (100)   40

青山城本郭跡1223…1238仙元山1243…仙元山遊歩道入口1311…1336小川町
     (270)  15  (△299)    29        (90)     25     (90)

                 体力度A+ 神経度A+ (歩行合計約4時間00分)
◇5万図 熊谷
□筆者参考文献 「埼玉県の山」(堀江昇他) 

 雷電山はガイドブックにも余り紹介されいていない山ですが、五万図「熊谷」の左下隅に小さく山名が注記されています。山頂近くまで舗装道路が通っていますが、登る人は多くはなさそうです。冬の日、非日常を求めて、未知の小さくて無名の山を訪れようとするとき、情報不足による不安感と、人里近い安心感が合わさって、程良い精神的負荷を与えてくれます。そして首尾よく踏破した後には意外に大きな達成感を感じさせてくれます。

 この日、越生駅前は、たまたまかち合ってしまった東武鉄道主催の七福神巡りのハイキング大会の参加者でごった返していました。都幾川村村営バスで役場前BSへ。
 交差点からは西への車道を辿ります。右前方には、どら焼きのようになだらかに盛り上がる雷電山の円頂丘が望まれます。10分強で前方は左へカーブしているのが見え、右の分岐へ入りすぐ左折して川を渡り、突き当たりを左へ。右への分岐を見送って少し行くと、いよいよくねくねと登り始めます。
 初め日陰がちで、舗装道のため溶けた雪がしみ込まないで氷結して完全なアイスバーンの箇所も多く、たまに車が来るとコントロールを失ってこちらに突っ込んで来る恐れにビビります。やがて日当たりもよくなり、東京方面の展望が広がった後、道は屈曲も登りも緩くなり、やがて山腹をトラバース気味に北西に向かいます。今度は、笠山から南に連なる稜線の手前に、牧歌的な比企丘陵の展望が広がり、高原情緒さえ感じます。付近の民家も、山村風ではなく、町中の住宅あるいは別荘風の作りで、渋い風情はないものの、道中、明るい気分で歩けます。車道歩きの退屈さを感じぬまま、右側民家手前の路地入口に「雷電山登り口」の指導標を発見(^^)。


 登り口への車道から笠山方面。


 舗装道はすぐ終わりますが、左手の指導標に導かれて、山道に入ります。なだらかな山なので、道はジグザクなとせず、真っ直ぐ山頂へ向かいます。ですから、それなりの急登ですが、山道に入ってから10分ほどで山頂に着きます。  雷電山山頂は樹間の切り開きで、木造の小祠が2つあり、三角点もありますが、雪に覆われていて腰掛ける場所がないのは辛いところです。立ったままパンを食べて、5分ほどで辞しました。


 雷電山山頂。


 山頂まではあった人間の足跡は、北東へ下る雪道にはありません。と言うことは、最近降雪があってから2〜3日、人は通っていないと言うことです。素晴らしい!(^^)。
 谷の左岸を行き、その後左へ逸れて尾根に乗った所で左右から乗越す道に突き当たります。右へ行くとまた左岸の道となりますが、また現れる分岐を右へ行くと竹林の中の道。いつもは、鈍く見える竹の緑もこの季節は目に鮮やかです。
 やがて里に降り着きますが、日影BSまでの道のりで見かける日影集落の民家も、町中の住宅風。この辺の山村の民家は、殆ど代替わりして、既に近代化してしまっているようです。
 日影BSからのバスは、参考文献に「一日6往復」と書かれているので、当てにしていませんでした。案の定、日曜日は運休です。5万図からは、バス停前の車道を、北へ辿れば1時間ほどで小川町に着けそうです。しかし、まだ時間もあるし、折角ならもう一山と言うことで、その右側の丘陵地、仙元山経由で行くことにしました。
 仙元山は、以前、小川町−仙元山−青山城趾−大日山−物見山−小倉城趾−嵐山渓谷というメインルートを辿ったことがありましたが、具体的には殆ど記憶がないものの、良かったという印象が残っています。参考文献にはこちら側から登る道についての情報はないのですが、5万図には日影BSから4〜500m行った所に、仙元山を含む主稜線へ続く破線があります。5万図の破線は、廃道になっていたりすることも多いのですが、とにかくその辺りから突っ込んでみて、歯が立たなかったら、車道経由で小川町へという算段です。
 さて、車道を小川町方面へ進むと、右斜め前方へ分かれる道の4〜50m先に踏切があります。ちょうど、この辺から始まった5万図の破線が八高線を渡る辺りなので、「しめた」と思い行ってみます。踏切は、警報機もない小さなもので、渡った後の山道は破線のように谷沿いに行くものと、すぐ左手の尾根へ登るのもに分岐していますが、個人的に、登りでは、知らない道は高い方へ、高い方へと選択するのを原則にしておりますので、左を選びました。途中何本かの道と出合ったので、破線の道も残っていたかも知れませんし、その一部も歩いたかも知れませんが、とにかく15分ほどの登りで主稜線に着きました。
 ここは、尾根道の向きが東−西方向から南−北方向への屈曲点になっている240m等高線ピークと大日山(・252.7)の間のようです。
 左(西)へ緩やかに登れば間もなく屈曲点ピークで、ここから右(北)へ向きを変えます。展望はたまにしか得られないものの、なだらかで気分良く歩ける道です。この道、薄く積もった雪の上にはマウンテンバイクらしき轍が続いています。
 稜線へ出て15分ほどで案内板もある青山城趾のピーク、更に15分ほどで、本日最後のピーク、仙元山に到着です。頂稜は南北に細長く、両側に僅かな比高のピークがあります。まず着く三角点ピークが仙元山の頂上で、樹間からは赤城山方面だけが望まれます。


 仙元山山頂から赤城山方面。


 頂稜上の鞍部に当たる場所の右手(東寄り)には木製の四阿のような展望台があり、東京方面が望まれます。筆者的には、どうせ作るなら山が見える方(西寄り)がいいのにと思いますが、田舎の役人や政治家は都会の方を向きたがるようです。
 頂稜上のもう一つのピークを越えて少し下ると、道は分岐していますので、指導標に従って左・小川町方面を目指します。この下り道も明るくて気分がよい雑木林を通っていて、やがて右下に車道が見えた後、左の谷へ降りて、小沢の右岸を行くと里道に降り立ちます。


 仙元山から気分の良い雑木林の下り。


 振り返れば、今来た道の入口には「仙元山遊歩道」と書かれた標柱が立ち、その左手(歩いてきた方向からは右手)の尾根へ登って行く石段は天満宮の入口です。以前、こちらから登った時は、沢沿いではなく、天満宮経由だった事を思い出しました。
 道也に行って突き当たりを左折すればすぐ八高線の踏切。渡った後も直進を続けると、日影BSから4〜500mだけ歩いた車道の続きに突き当たりますので右折・北上。R254に突き当たると、左方に「小川町駅入口」の標識を見付けることが出来ました。

 参考文献からは、雷電山は山頂近くまで舗装道歩きが長く、山道に入ると藪の中に踏跡を拾うみたいな、「物好きな人向けの山」という印象でしたが、雷電山登り口への車道歩きも悪くありませんし、雑木林の山道に藪は殆どなく、気分良く歩ける易しいコースでした。仙元山と結ぶことで程良い歩程となり、出会うハイカーが少ないのが魅力というだけではない、冬のハイキングにいいコースだと思います。



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