遠ノ谷戸山・舟子尾根(奥多摩)



                          2005年2月6日(日)快晴

(京王八王子よりバス)美山小学校BS 925…1015基準点No.128 1020…林道1117…
               (200)    50        (320)     57(250)   38

1155遠ノ谷戸山1210…1252分岐ピーク1300…舟子尾根分岐1319…1345古愛宕山1355…
    (・404)  42        (・523)    19    (590)    26    (509)  27

1422新秩父線5号鉄塔1434…林道1445…1515郷土資料館1534…1549JR・武蔵五日市
            (360)     9(210)   30         (190)    15               (190)

                 体力度B 神経度B+ (歩行合計約5時間45分)
◇5万図 青梅 五日市 ◇2.5万図 拝島 五日市

 刈寄山の東方には年始めに歩いた入山尾根から山入川を挟んで北にもう1本尾根が横たわっています。ネットで検索しても、尾根の名前は見付かりらず、2.5万図「五日市」で今熊山との分岐ピーク(・523)の東方約1.2kmにある404m標高点ピークが遠ノ谷戸(とおのやと)山であること以外は尾根上に地名は見付かりませんでした。地形図からは、この尾根は標高は低いものの、尾根のつながりが滑らかでなくルートファインディングが楽しめそうで、その一方、採石場等の危険地帯はなさそうなので、藪がひどくなければ主稜線沿いに踏破出来そうです。それで、入山尾根を歩こうと思ったと同じ頃からハイキング候補地にしていたのでした。
 今回は、この尾根を登り、刈寄山−今熊山ルートに合流したらこれを少し南西へ辿り、やがて北へ分岐する舟子尾根へ入って五日市方面へ下ろうという計画です。

 美山小学校BSで降り、正面の路地を行きますが、登山口など見つかるはずもなく、右手、南北に尾根を乗越して行く車道に合流し、北へ緩く登って行きます。何の情報もない尾根に乗っかるにはそれを乗越す車道を登って峠近くで入山口を探すのが常道です。ただし、峠付近は切り通し状に絶壁の法面が作られている場合が多いですから、その前後を探すことになります。
 道路左手(西側)を観察しながら少し行くと、谷状になった所にはサクがあり「立入禁止」の表示。しかし、そのすぐ先、峠(戸沢峠)よりまだ大分手前の小尾根の角のような所にトラロープ発見。(註:2015.03.13 反対側の天合峰に登るために通りましたが、この入口は発見できませんでした。造成工事が進んでいたので、消失してしまったのかも知れません。)早速登ってみると、一部低木の枝が被っていたりはするものの、明瞭な道が続きます。


 トラロープを登ってみると意外に明瞭な道が続く。


 やがて、その道は目指していた主稜線を行くようになります。事前に何のヒントもなかったのに、こんなにあっけなく主稜線を捉えることが出来、ラッキー(^^)。しばらく悩むような分岐もなくこの道に誘導されて尾根上を行きます。やがて、道が北と西に分かれるピークに出ますが、ちょっとだけ悩んだ後、西を採り、正解でした。
 更に道也に行くと、採石場の崖が目立つ入山尾根がよく見える場所に着きます。そこには、「八王子市道路台帳 1級基準点 No.128」と書かれた金属プレートが上面に付いた標石がありました。ここまで、距離・標高差の割には時間は掛かっているものの意外に順調です。この調子なら楽勝で分岐ピーク・(523m)まで行って、その後かなりの余裕を持って舟子尾根に入れそうな気分になっていましたが、しかし、案の定、現実はそんなに甘くありません。


 「1級基準点 No.128」付近より入山尾根北面。


 基準点を過ぎて間もなく、進路を塞ぐ灌木や低木がにわかに増えました。それらをよけながらも、とにかく尾根を失わないように進む道ですが、虫など出る季節には絶対歩きたくない道です。この先、遠ノ谷戸山との間に、尾根を南北に横切る林道の峠があるはずですが、なかなかそれらしき景色が現れません。それでも、いくつかピークを越えて行くと植林帯となって、藪もなくなりました。
 安堵したのも束の間、道が北向きにカーブしたまま、一向に西に向きを変えません。左(西)の下の方からバイクのエンジン音が聞こえるので、林道は間近のはずですが、峠越えのバイクなら、音が近付いてきた後遠くなるはずなのにずっと明瞭に聞こえ続けるのは不気味。もしかして、バイクではなくチェーンソウ等かも。林業関係者だったら怪しまれて、ヘタしたらつまみ出されるかも。とか、バイクが立ち去らないのは暴走族か過激派か何かの悪党がタムロしているからで、見つかったら襲われるかもとか、余計な心配が頭をもたげます(^^;)。
 植林の中、露岩も現れる登りを過ぎ、辿り着いた小ピークからは西に向かって下れそうです。峠よりは北側に下り着く事になったとしても崖や沢に邪魔されずに林道に立つことが出来れば大した標高差でもないので、峠方向へ登り直して、尾根への取り付き口を探せばよいのですが、取り敢えず、2.5万図を見ながら善後策を検討します。現在地は林道東の345m標高点から北西160mくらいにある320m等高線ピークのようです。ここから西に下ってすんなり林道に立てるのか等の不安もあり、一旦は尾根道を少し戻り、西側の峠方面へ下って行く道を探す事にしました。
 尾根道が左へカーブして、右手樹間に入山尾根が望める辺りまで戻ってみましたが、峠方面への下り口は見つけることが出来ませんでした。帰りも峠への下り道を探しつつ、先程の320mピークに戻りました。
 仕方ないので、ここから西へ下ります。植林の中、急な道だと思ったら、そのうち道でも何でもない斜面を下っている感じになります。足下のがざらざらと崩れやすくて厭な感じですが、下草はなく、林道も目に入ってきていますので、木につかまりながら適当に下ります。樹間右下(北側下流方向)には先程音だけ聞こえていたバイクが見えましたが、対岸の斜面でトライアルの練習をやっている様です。それで、エンジン音の移動範囲が狭かった訳ですね。下りきった林道の手前には背丈ほどの深さの溝になった小沢がありましたが、流れはか細く、岸の斜面の登り降りも容易で、難なく横断することが出来ました。
 簡易舗装された林道を、左(峠方面)へ登り始めますと2分ほどの林道が左へカーブする地点から正面の谷沿いに入る山道があり、これを登ると支尾根に突き当たり、左へ僅かで主稜線に合流できました。結局、峠のすぐ西の330mピークを巻いてしまって、その西側で主稜線に復した訳ですが、何故か林道からここまでは遊歩道のように歩き易い道です。
 更に西へ進むとまた多少藪っぽい道となり、やがて登り着いた頂稜部は北西向きから途中で西向きに曲がっています。西端近くの樹間からは近く今熊山ややや遠く大岳山が望め、新多摩変電所らしき施設も見下ろせます。頂稜部を屈曲点の先まで戻ってみても、山名標識は見つかりませんでしたが、ここが2.5万図の404m標高点ピークである遠ノ谷戸山であることは間違いありません。


 遠ノ谷戸山より今熊山、大岳山。


 更に西へ尾根を辿ります。左手は採石場の荒涼たる景色が続き、標高350mくらいの鞍部付近では谷が浅くなって、採石施設が間近になり、出入りする自動車の音もはっきりと聞こえました。鞍部から分岐ピーク(・523m)へは、今日、今までで一番尾根道らしい、いい感じの道ですが、ここまで結構「曲がりくねった茨の道」だったので、バテを感じる登りではありました(^^;)。


 分岐ピークへはいい感じの尾根道を行く。


 やっと辿り着いた分岐ピーク(523m標高点ピーク)にはコンクリートのベンチがありますが、刈寄山−今熊山のハイキングコースは僅か西側を巻いてしまっています。ここまでで、時間的あるいは体力的にヤバければ今熊山方面へ下るつもりでしたが、一応ほぼ順調に来られたので、予定通り舟子尾根を目指すことにします。
 ハイキングコースを刈寄山方面へ辿ります。ここまで来てもまだ登り基調です。何しろ、やがて着いた舟子山分岐点がピークでも何でもないのに、本日の最高点なのですから。


 舟子尾根分岐点を刈寄山側から見る。


 ここは、刈寄山側から見ると610m等高線ピークを挟んで、右;今熊山方面、左;送電巡視路と巻き道が分かれる地点です。指導標は右が今熊山方面であることを示し、左は東電の標柱が新多摩線86号鉄塔方面であることを示しています。標柱には「行き止まり」と書いたテプラが貼り付けてありますが、難路ではないことはネットの複数サイトから情報入手済みなので安心して入って行きました。
 610mピークを西側から巻き、86号鉄塔の辺りで舟子尾根に乗ります。その先急な下りが3箇所ありますが、巡視路仕様の実用的な階段になっており、つかまる木を探すなどの苦労もなく、効率よく下ることが出来ます。
 505m標高点ピーク辺りから巡視路は右手(東側)支尾根の鉄塔方面へ逸れてしまうので、舟子尾根の道は普通の仕事道となりますが、悪路ではありません。505mピークから3つ目のピークが古愛宕山(509m標高点ピーク)で、木に山名と標高を記した板がくくり付けられています。本日唯一、山名標識を見つけることが出来たピークです。
 古愛宕山からは東へ下って行きます。大勢としては道は北東寄りに向かって行きますが2つ目くらいの急坂の入口では一瞬尾根の続く方向が判らなくなります。しかし、そのまま道也に少し下って行くと前方左寄りが稜線であることが判明して一安心。
 やがて等高線にも表れるか表れないかくらいの僅かな比高で標高390mくらいのピークが3つ続きます。山名標識はありませんがここでは最後(北端)のピークを竜(たつ)山と同定します。竜山からは順路は北西に向きを変え、2分ほどで新秩父線5号鉄塔に着きます。明るく開けた鉄塔下で一休み。


 新秩父線5号鉄塔付近より北西方面。


 ここからは再び巡視路となって、あとは下るばかりです。3分ほどで新秩父線3号鉄塔。そこから、右へ左へと巡視路の階段を下って行きます。階段は、一箇所谷の部分で土砂に埋もれていますが、傾斜がきつくないので問題はありません。程なく林道に下り立つことが出来ました。
 林道を左へ下って行くと9分くらいで刈寄山方面からの車道に合流し、右へ。やがて交差点を右へ新久保河原橋(盆堀川)、沢戸橋(秋川)と相次いで渡り、小中野交差点で太いバス通り(檜原街道)に合流すれば、右へ武蔵五日市駅までは25分くらいです。駅へ向かう途中、バス通りから左手に僅かに入った所にある五日市郷土資料館に寄り道しました。

 遠ノ谷戸山の尾根は、ルートファインディング等期待通り楽しめましたし、舟子尾根も誰にも会わない静かな山歩きが楽しめました。ボンゼン山、入山尾根同様、山屋さんのような体力や技術はないけど、遊歩道のような道ばかりでは飽き足らないという方にお勧めです。ただし、この手のルート未経験の方は、もっと短い、寺山・御春山(中央線)や斧窪御前山(中央線)を歩いてからの方が安心かも。



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