桧沢岳(南牧)



                       2006年10月15日(日)晴
 
(板橋区の自宅よりバイクで)舗装道路最高点1102…1207桧沢岳西峰1214…
                  (730)  65    (1100)  12

1226桧沢岳1233…1305鞍部1312…林道1341…1350舗装道路最高点(バイクで帰宅)
  (△1133)  32 (1040)  29     9

       体力度B- 神経度B (ロスタイムを多少含む 歩行合計約2時間40分)

◇5万図 万場 十石峠

 今週も晴れて、4週連続のスーパーカブ90登山第4弾は、西上州根草の桧沢岳です。谷を挟んで対峙する位置の山からや、麓の一部からしか見えない小さくて地味な山ですし、歩程は短めの周遊コースですが、山村風景、岩場やルートファインディングなど西上州の山歩きの楽しみが凝縮された山として、意外に多くのガイドブックに紹介されています。しかし、バスの本数が少なく、バス停からの車道歩きも長く、東京方面からですと公共交通機関利用での日帰りは強行軍。往路に下仁田からタクシーを使えばそれは多少緩和されますが、帰りの事も考えればマイカー登山が最も便利。でも、山村の道端に駐車スペースは狭く、地元への気兼ねを考えたら4輪よりも2輪がベストでしょう。ただ、この手の山はヤブ勝ちですし、紅葉や展望からも、もっと遅い季節が適期で、その一方寒くなるとバイクの遠乗りは辛いですから、バイクライダーにもなかなか行きにくい山ではありました。

 板橋区の自宅からR254−R463−R299と辿ります。小鹿野を過ぎると営業中のガソリンスタンドやコンビニを見かけなくなりました。カブはタンク容量が4Lしかないので、前回給油からの走行距離が150kmくらいになると、給油場所を気にしながらの走行となります。あまりに入らないとスタンドにも申し訳ないですし、次回の給油も先延ばししたいので、出来るだけEMPTYぎりぎりまで引っ張りたい心理が働き、購入後今まで平均約55km/L走っているので、町中なら前回給油から200kmくらいは給油しないのですが、これから山地へ入るとなるとスタンド密度も低くなり、登り坂が続けば平均よりガソリンを食いそうで、結構不安になります。何とか志賀坂峠を乗り切り、上野村のJA(農協)で給油出来たときは前回給油から200kmを越えていたので、かなりホッとしました。山中での食料も調達したいので、となりの「道の駅」に寄って行きますが、パンや弁当類は売っていなくて、ペットボトルのお茶のみ入手。
 R299を更に辿った後、塩ノ沢峠道である〈45〉に入りますが、道の良さに惹かれてつい、地図も確認せず湯の沢トンネルに入ってしまいました。目的地の根草は塩ノ沢峠を越えて南牧側に下った峠道の途中なのですが、湯の沢トンネルは意外に長くて(^^;)、トンネルを出て峠道に合流したのは、根草より更に先へ下った地点でした。しかし、この合流点からは桧沢岳らしき山が美しく望めます。


 トンネル道と峠道の南牧側合流点より桧沢岳方面。


 根草目指して〈45〉を登ります。やがて、ガイドブック類にも名が出てくる大森橋を渡ると指導標「檜沢岳登山口」が〈45〉から分岐する左手車道を示しており、そこを登って行きます。後に下山時に林道から合流する辺りの橋を渡って左へ更に登って行けば根草集落の舗装道路最高点に着きます。ここには、車が旋回出来る広場がありましたので、その端にカブを置かせて貰いました。


 カブ駐輪場所の脇から登って行く。


 これから桧沢岳へ行ってルートファインディングも楽しもうと思われる方は、ネタバレになりますので、ここから先は読まずに出掛けられた方がよいでしょう。

 いよいよ、桧沢岳ハイキングの始まり。駐輪した脇から民家の間のコンクリの小径を登って行きます。指導標はありませんが、目の前から山の方へ向かう道はこの1本なので取り敢えずは行けるところまで行ってみようと。やがて、畑の中から民家の庭先に出てしまいますが、ガイドブックの記述にもそう言うのがありましたので、右から左へ通り抜けさせて貰いました。(庭に入ったところで一声掛けてみましたが、無人のようでした。)すると、白い板に殆ど消えかかった「登山道→」のマジック文字。ルートは正しかったようで一安心。しかし、この後も一筋縄では行きませんでした。
 樹林帯の道はすぐに、左へ緩く登って行く広めのトラバース道に突き当たってしまいました。数m左に目印らしき赤テープを発見しましたので、そこから直登路に入ってみましたがすぐに道形不明になり、トラバース道まで20mくらい引き返しました。
 仕方なく、トラバース道を登って行くと程なく倒木が前途を塞ぎますが、右手から折り返すように登って行く道を発見。この道に入りますが、ここにも倒木があり、2箇所くぐって行きました。やがて、下草の刈られた植林の中、またまた道形不明瞭となり、どこを通ったらよいか迷い始めた頃、左手に明瞭な道を発見。指導標は1本もありませんが、木に巻いたビニールひもなどの目印も多く、この先山頂まで、迷う所はありません。尾根道らしくなり、雑木も現れいい気分ですが、やがて尾根から左トラバース道への分岐地点に目印あり。ガイドブックにも尾根の左を行く記述があるので、この先、尾根を行くのは無理なのでしょう。
 トラバース道はまず沢の源頭部を渡って行きますが、ずり落ちそうでビビります。更にその先、山腹を登る辺りも、両手動員の急斜面で、滑ったりコケたりしたらどこまで転げ落ちるのか判らないようなところなので大ビビり。やっと尾根に登り着くと、間もなく桧沢岳山頂直下の絶壁「髪摺岩」の基部となり、それを左上すれば西峰と本峰のコルに着きます。
 まず、左手の西峰へ。この登りは僅かですが、急なうえ、途中の数メートルは滑りやすく、捕まる木等も不足がちなので一歩一歩を慎重に行きます。間もなく、ガイドブックの記述通り好展望の西峰に着きました。しかし、この日、遠望には恵まれず、はっきり見えるのは近くの小沢岳くらいまで。鹿岳も霞んでいます。妙義山は更に霞んで薄く見える程度ですが、それでも周囲の山々から際立っている感があるのは流石です。先程のコルからの本峰への登り口もヤバそうだったので、ここであまり長居できる気分でもなく、少し休んだ後コルまで、登りのときより更に慎重に下りました。


 西峰より小沢岳方面を望む。


 コルから本峰への登り口も大ビビり(^^;)。始めの1m程の岩は尾根のまん中を登るのでまだましなのですが、次の2m程は正面は無理で、少し右斜面寄りからとなり、傾斜線が尾根線から外れて、足下の高度差もグンと深まります。勿論、落ちる予定はないので、現在対峙している斜面より下の景色は困難度には関係ない筈なのですが、チキンハートの筆者には足下の標高差もビビり度に影響します。ここには、ちょっと古びた固定ロープがあり、信頼性が不明な人工物には出来れば頼りたくないのですが、ビビり度100%の筆者は、ちょっと引っ張って確認しただけで頼ってしまいました(^^;)。
 その後は急登少々て本峰(1133.3m三角点)に到着。ガイドブックの記述通り、低木に囲まれて、展望は良くありませんが、祠などあり、関係者の方々の信心が偲ばれます。


 桧沢岳山頂。


 その先の下りは、はじめ左へ行った後、右へカーブして頂上岩壁下の神社に着きます。木造の四阿や、数基の石祠、洞窟等ありますが、一部新しめのものもあって、近年もここまでそれらを建造する資材を担ぎ上げた訳ですから、ここから先は明瞭な道が続くのではないかと安心。しかし、そうは問屋が卸しませんでした(^^;)。


 岩壁下の神社の四阿の奥の洞窟。


 神社の先、沢の源頭部を経て岩稜下りとなります。ガイドブックでは「明瞭」な筈の道ですが、やがて道形不明瞭となり、右に尾根を外れるのがルートっぽく見えたのでそこを少し下りますが、方向が南向き過ぎておかしい。現在は東への主稜を絡んでいなければならない筈なので、最悪、神社までを覚悟して戻ると、岩稜に復して程なく、上から見て左側に逸れる目印を発見。そちらへ入れば正面が岩壁となっている主稜上のコルへ行き着き、右手の下山路に入ることが出来ました。
 植林の中、ジグザグに下って行く道に入ったので完全に安心してしまいましたが、やがて薮尾根に入ったりして、「本ルートなのか?」とまたまたビビります。しかし、ここまで来たら沢にぶち当たるまで下ってしまうしかありません。その後のことは引き返しも含めて沢まで下ってから考えることにしました。
 水音はとっくに聞こえている中、意外に長い下りの後、ようやく沢に突き当たりました。ガイドブックに記述されていた堰堤は少し下流にあり、それは凹んだ中央部の上を水が流れる型式なので渡れる構造ではなく、付近に橋もありませんが、こちら側(右岸)と対岸(左岸)に目印のある場所で石伝いに渡ることが出来ました。更に目印に導かれて左岸の斜面を登れば林道に出ることが出来ました。
 沢沿いの林道を下ると、初め湿っぽかったのが、やがて乾いて来ます。右手の沢が堰堤を3つ越える辺りで折り返して高度を下げますが、何故か、その部分的なコンクリート舗装で却って滑ってコケそうになったりしました(^^;)。林道を5分程下ると橋のたもとでバイクで登って来た舗装道に突き当たり、その舗装道を右へ更に5分弱登ればカブを停めた、舗装道最高点に戻る事が出来ました。
 いくつものガイドフックに掲載されている山、好天の休日、なのに山中、ハイカー、仕事人を問わず、1人の人間にも出会いませんでした。ここはまだまだ、穴場です(^^)。

 カブでの帰宅ルートですが、後になってみれば、せっかくここまで来たのですから、帰りは塩ノ沢峠まで登って御荷鉾スーパー林道を辿るのでした。しかし、元来食いしん坊の筆者ですから、山中用の食料を調達できなかった事実により、この時は早く下界に下りて、食事を摂ることしか頭にありませんでした(^^;)。それで、下仁田方面へ下りましたが、なかなか適当な店は見つからず、R254に入り、バイパス富岡付近左手の集合食事施設の「ほっかほっか亭」(「モスバーもあり」)で唐揚げ弁当を買って道端で食しました。
 その後、殆どずっとR254を辿って帰宅しました。

 カブ登山なので徒歩は短めのコースとは言え、久々に「入口が判らず転進(退却)かも。」、「落ちたら死ぬかも。」、「道に迷ったらヤバイ。」など各種恐怖を感じたうえ、帰宅翌日から腕にも筋肉痛を覚えましたが、後日の印象は「面白い。この手の山をまた歩きたい。」でした。星の数ほどある小さな山々の中で、この山がいくつものガイドブックに掲載されているのは、いろいろ歩いている複数の執筆者等の方々から見ても「面白い」と言うことでしょう(^^)。



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