北高尾山稜から陣馬山(中央線沿線)



                       2013年6月9日(日)晴後薄曇

(京王線・JR・高尾よりバス)八王子城跡BT 805…城山(本丸)840…901詰の城918…
                               (230)   35    (460)   21   (480)   21

939富士見台949…1046狐塚峠1055…1113杉の丸1120…1155大嵐山1200…
     (550)   57     (500)   18    (・612)   35     (580)    35

1235関場峠1245…1323堂所山1340…明王峠1406…1443陣馬山1500…車道(上沢井)1630
    (540)    38    (・731)   26 (730)    37   (△855)    90       (300)

…1720JR・藤野
50         (220)

                 体力度B 神経度A+(歩行合計約8時間25分)
◇5万図 八王子 上野原


 筆者がハイキングを始めた頃からしばらくの参考書は「東京付近の山」(ブルーガイド編集)で、数年置きに数版買いました。お馴染みの奥多摩、奥武蔵あたりは地域限定のガイドブックも持っていましたが、この本にはいろいろな方面の東京から日帰り可能なコースも多数収録されていて便利だったのです。その頃は古い情報に価値を感じなかったため、初めて買った版は残念ながら引越の際に廃棄してしまったようで手元に残っているのは1979年全面改訂版が最古のものです。その前の版までは地図は墨単色の概念図(地形は尾根を太線、沢を細線で描写)で、この版から茶を加えた2色の等高線図(50m間隔)になったと思います。
 版毎に掲載コースの若干の入れ替えはありましたが、やがてお手軽な日帰りコースは殆ど歩きつくし、他の本にも数多く手を伸ばすようになりました。山域毎のガイドブックも買いましたが、「東京周辺の山」(アルペンガイド別冊)はやはり東京から行くいろいろな方面のコースが紹介されていて「東京付近の山」を補完するのに好都合な本で、初めて買ったのは1986年改訂第4版でした。
 北高尾山稜はこの本で見つけ、「標高は1000mにも満たない低山歩きであるが意外に手強い」という紹介文に惹かれて出掛けたことを憶えています。記録を調べるとそれを含めて3回は行っているようですが、最後に行ったのが1997年で、再訪するのに十分な時間が経っていますので今回また出掛けてみました。
 初めて行った頃は結構穴場的なコースだと思っていましたが、今般、ネットで検索してみるとかなり詳細で正確と思われる情報が多数公開されていますのでこの記事ではガイド的な内容は割愛し、個人的な出来事や感想に終始させて頂きます。

 筆者は現在無職なので、山へは人があまり来ない平日に出掛ける事も比較的容易なのですが、この日は日曜日。まだ7時半頃なのに高尾駅北口のバス乗り場はハイカーでごった返しています。(大部分は高齢者で、TVのアニメや旅番組に出てくるような「山ガール」なんて殆ど幻想であることを思い知らされます(^^;。)しかし、大部分のハイカーは陣馬高原下行に吸い込まれて、そのバスが去った後の乗り場は閑散としていました。755発の八王子城跡行バスは10人くらいの乗客を乗せて出発、7〜8分で終点に着きました。
 八王子城跡BTは初めて行った頃は「東京造形大前」でしたが造形大移転で「八王子城跡」と名前が変わり、その後、乗客が少ないため路線が廃止に。しかし最近八王子城を観光資源として活用するためか、2012.12より土休日に限って復活しました。平日でも他路線で途中の「霊園前」までは乗車出来ますが、運賃は八王子城跡までと同じ180円で、そこから20分くらい徒歩となるのは業腹なので日曜日に出掛けた訳です。
 バスターミナルは路線復活に合わせて新設(作り直し?)したようでアスファルトも真新しい感じです。前回行った時は残っていた造形大の建物は完全に撤去されて「ガイダンス施設」を含む園地に生まれ変わっていました。そうでなくても、登山口の様子の記憶が全くないので、園地内の遊歩道経由が順路かとも思いましたが「まあ、城跡だから上へ上へと行けば道はあるはず」と思い車道を道成に行くと程なく別の施設があり、その右手から登っていく事が出来ました。


 城山(本丸)。


 本丸(山頂)の西側は急斜面の為か、あるいは城としての防衛機能のため敢えて作らなかった名残なのか道はなく、縦走路へは一旦下って巻いて進みます。そのためか、本丸へ寄らずに縦走路へ歩を進めるハイカーも見かけました。巻き道の途中、手押しポンプの井戸がありカップが置かれていましたが、ヤバそうな気がしてスルー。次のピーク・詰の城で1回目の食事。電車に乗る前に駅近くのスーパーで買った298円の弁当のハンバーグは肉と言うよりはおからを固めたような食感でしたが、これはこれとして美味しく頂けました。ここは元々は富士見台の肩のようなところで、西側の小切戸は人工の空堀のようです。
 富士見台は指導標のある三叉路を少し南に登ったところが頂上ですがその名に反して展望は立木越しに小仏城山、景信山方面が僅かにのぞける程度です。ここで2回目の食事(おにぎり2個)。この後も、休憩ごとに小倉デニッシュ(菓子パン)を少しずつかじりました。
 縦走路に復し僅かでたどり着く北高尾山稜唯一の三角点(547.4)ピークには「杉沢の頭」という山名が表示されていました。これ以降も堂所山まで五万図には注記がありませんが、杉の丸、大嵐山等、各ピークには結構山名が表示されていました。この日は道端に名も知らぬ小さな白い花の集合体がやたらと目に入りましたので撮影して帰宅後ネットで調べてみたところ「コアジサイ」だったようです。


 若干草の被る道。(狐塚峠−関場峠間 湯ノ花山付近)


 コアジサイ?。(関場峠−堂所山間で撮影)


 奥高尾縦走路とのジャンクションピーク・堂所山に着く頃には完全にバテバテになっていました。山頂には運悪くスモーカーが。山へはいい空気を吸いに来ているのすからどうしても吸うならせめて風下側の端を見つけて吸って貰いたいものです。仕方なく少し先で休憩。クッキーを食しました。
 堂所山から数分でこの山の南面を巻いて来た奥高尾縦走路に合流。日曜日とは言え、ここまでは人に出会うことはあっても常に前後に人が見える状況はありませんでしたが、ここから陣馬山までは銀座通りですからそうなります。
 程なく明王峠。ここから陣馬山までまだ100m以上の標高差があってバテた体にはきつそうなのですが、途中のピークには巻き道完備で徐々に高度を上げるのでそれ程バテは進行しないまま、いつの間にか陣馬山に着きます。


 陣馬山から遠望利かず。


 陣馬山には15時前と比較的遅い時間帯にも拘わらず、数十人がいて、筆者の後からも続々と到着して来ました。1月に高尾山から歩いた時とほぼ同時刻ですが、その時は平日ですし日が短い季節で日没が近いため筆者の他1人しかいませんでした。本日唯一展望を遮る立木のない山頂ですが、この日も視界が悪く、はっきり見えるのは醍醐丸あたりまででした。本日最後の大休止の後、藤野駅を目指します。
 この日は日没まで時間的に余裕があったので一の尾根コースを下りました。このコースは藤野までのハイキング道としては最も車道歩きが短く山道が長いコースです。しかし、結果としては1月に栃谷経由で下った時と比べると車道歩きの短縮は10分ほどなのに対し山道は40分以上長くかかり、ふくらはぎや足の裏はもとよりヒザまで痛くなって来ました。そんな時には山道を楽しむ余裕なんてなくなっていますから、もし、陣馬山でバテバテでしたら、おとなしく和田BTか陣馬高原下BTへ下りバスに乗るのが正解かも。ただし藤野−高尾の電車運賃は230円なのに対して陣馬高原下−高尾駅のバス運賃を調べたら540円もします。和田−藤野駅のバス運賃は240円なので藤野−高尾の電車賃を足しても和田へ下った方が安いです。
 以前、筆者が初めて高尾山から陣馬山へ歩いた時は随分長く感じてバテバテで取り敢えず山道最短の和田峠へ下り、車道を和田へ。既に夕暮れ時で、現地の人に藤野へのバスの便の有無を尋ねると「5時バスがあるよ」といわれ、ホッとした記憶があります。当時、既に東京周辺の路線バスはワンマンでしたが、このバスには肩掛けカバンとハサミを持った女性車掌が乗っていて薄手のチケットを乗客に渡していたのが印象的でした。その時のバスの乗客が少なかったのでこの路線はもうとっくに廃止されていると思っていましたが、現在存続しているのは嬉しい限りで、今度陣馬山に行ったらまた乗ってみようかと思います。
 上沢井で集落の車道(未舗装→コンクリ→アスファルト)に出た時点で、この日持参した0.5Lのお茶と1Lの水は全て消費済、陣馬街道に合流して見つけた自販機で0.5Lのお茶を買って藤野駅までに飲み尽くしました。これからの季節、飲料水の類は2Lくらいは持参しようと思います。尚、藤野駅手前のトンネルは何度通っても疾走する車が怖いです。

 北高尾山稜はもし視界のいい日に行ったとしてもあまり展望に恵まれる場所はないので一般に低山に適した晩秋〜春だけでなく新緑の季節に歩くのもいいと思います。今回、うるさく感じる程ではありませんでしたが道の両側から草が被る場所も多々ありましたのでこれからの季節はお奨め出来ませんが、鳥の声だけが聞こえる緑の中にどっぷり浸かる事が出来、大満足でした。



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