棒ノ折山から東青梅(奥多摩)



                     2013年12月11日(水)晴一時曇

JR・川井905…1005登山口1010…1122棒ノ折山1150…1218黒山1125…
   (260)  60   (400)    72    (・969)    28 (△842)  89

1354小沢峠1402…1501林道始点1506…1602成木市民C1610…1719JR・東青梅
   (400)  59    (260)  56     (170)  69      (190)


                 体力度B 神経度B(歩行合計約7時間40分)
◇5万図 五日市 秩父

 筆者が中学ハイキング部の山行で初めて登った奥多摩の山が棒ノ折山でした。確かに、奥茶屋〜棒ノ折山〜名坂峠は初心者を鍛えるくらいの歩き応えがあって奥多摩入門のコースとして好適です。それで、今回、数年のブランクの後の奥多摩再入門の山としてこの山を選びました。ただし、黒山〜名坂峠は96年12月に鳥首峠からの縦走時に歩いた記録が残っているので、今回は記録も記憶もない(初めてかも知れない)小沢峠への道を選択、更に大仁田山まで足を伸ばし名栗川側の唐竹辺りへ下りようという目論見です。しかし結果は…T_T。

 青梅線の川井駅から大丹波川沿いのバス通りを緩く登って行きます。この道は数回通っていますがバスは運行本数が少ないため乗れた例しがありません。片道1車線づつあった道が20分ほど歩くと単一車線となりますが、すぐに開けた感じの大丹波集落を行くようになります。やがて中茶屋、百軒茶屋と過ぎて、きっちり1時間で棒ノ折山登山口のある奥茶屋(休業中)に付きました。
 川を渡ってワサビ田のある沢に絡みながら登っていきます。効率の良い登り20分ほどで、沢から左の支尾根に向かう屈曲点(山ノ神)に着いたので5万図で確認すると、ここの標高は630mくらいありそうです。と言うことは、登山口からここまで標高差100mあたり9分もかかっていない事になります。普通は標高差100m稼ぐのに12〜15分かかるので、ここまで異常な速さです。山頂までの残り標高差は340mということになり、バテによる減速を見込んでも山頂まであと30分くらいで行けそうです。しかし、実際はここから山頂まで50分かかりました。それで5万図をよく見ると小径記号の破線は沢から左にずれておりその分屈曲点も谷底から山腹へ移動していたのです。地形図の破線はアテにならないというのは定説ですが、ここの場合も5万図の示す屈曲点がこの地点ではありませんでした。帰宅後「電子国土」サイトで確認しましたが、そこに掲載されている地形図もやはり破線は谷から山腹側へずれています。「ヤマレコ」サイトの投稿記事によくGPSの地形図上の軌跡が載っているのを思い出し、そちらを当たってみると屈曲点の標高が570mという値を得ることができました。これだと標高差100mあたりここまで11.8分、ここから山頂まで12.5分ということで話が合います。


 棒ノ折山より新飯能変電所・大仁田山方面。


 バスケットコートより広い棒ノ折山山頂広場に着き、視界の開けた名栗川側の縁に並んだベンチに腰掛けて大休止。景色を楽しみながらおにぎり等を食べました。この日の視程はまずまずで、左手から有馬山、大持山、武甲山、武川岳、伊豆ヶ岳、近くに蕨山、やや遠く丸山から日和田山まで、奥武蔵ほぼ全域の山々が普通に見え、後方には筑波山、赤城山が青く、また上越国境の白い山々も見られました。充分休んだら、下りに備えて革軍手を装着し、出発。
 次の黒山まではいい道が続きます。木立に囲まれた黒山山頂からは大岳山辺りだけが木に遮られずに見ることが出来ます。棒ノ折山にはない三角点標石もど真ん中に鎮座しています。ここからは名坂峠方面へ続くメインルートと別れて小沢峠を目指します。


 黒山から大岳山を望む。


 この道はガイドブックにもよく紹介されているポピュラーなルートなので、黒山までと同様に判りやすく歩きやすい道を想像していましたが意外に難路で、小沢峠より先の道のために持参したGPSが早くも役に立つこととなりました。まずは岩っぽい道を急降下、指導標がありほっとしますが、やがて尾根が広くなり落ち葉に埋もれた道は判然としなくなりますので木に巻かれた目印のリボンを頼りに進路を選びます。何本もの太い倒木が道をふさぐのでますます判りにくい。切ったり折れたりした木ではなく、土がめくれて根こそぎ倒れています。


 黒山から先は道が落ち葉に埋もれがち。


 途中、どちらを選ぶか小考させられる分岐が2箇所現れました。1箇所目は指導標は左の巻き道を指していました念のため尾根を行くと程なく合流しました。2箇所目はベンチがありベンチにマジックで「小沢峠→」と落書きされている方向は正面ですがこちらには別の地名を示す指導標があったので、「小沢峠」の指導標はないものの、明瞭な右の道を選択しました 。だんだん頭上は雲に覆われて来て暗い雰囲気に。新鮮な生花が供えられた遭難碑を見てしばらく後、最後の急降下で小沢峠に着きました。
 さて、ここで今後の事を考えます。ここから下るなら右の成木よりバスの便が良さそうな左の小沢です。山中での行動を16時頃までとするとあと2時間。ここから大仁田山へのルートは以前通ったことがあり、具体的な記憶はありませんが難路だった印象もありません。大仁田山超えをしてもぎりぎり間に合いそうなので縦走を続行する事にしました。
 急な登りから始まる道は倒れた低木や枝が塞いでいる箇所が結構ありましたが、この区間に関しては一般的なハイキングコースではありませんから覚悟の上です。しかし、やがて前回なかった真新しい車道(未舗装の林道)が鞍部まで来ている地点に出てしまいます。GPSで確認すると5万図493mピークの直前でした。眼前のピークに登り、再び主尾根を辿ります。右下をさっきの林道が並走しています。
 相変わらず藪っぽい道を辿って行くとへまた林道に出てしまいました。法面は急なので注意深く踏み跡を探して車道に下りました。まわりの景色を見るとここは鞍部ではないのでGPSで確認してみると、いつの間にか道を右へ間違えたらしく、支尾根上でした。引き返す気力もないので車道を左へ行きます。こういう林道は大きく上下しないよう、支尾根では外へふくれ、支尾根と支尾根の間の谷で主尾根に近付きますので、もし鞍部の近くを通るようだったら主尾根に復帰する選択肢もあります。しかし、一つ目の谷では主尾根が遠く道もなく、二つ目は主尾根まで数十mの距離まで近付きましたがやはり道はなく、藪漕ぎして復帰しても時間的に厳しいので、ここで最終的に縦走をついに断念。やがては谷に沿って主尾根からどんどん離れて下って行くであろう林道をどこまでも辿ることにしました。途中からは作りが古くなり舗装道となります。20分程で林道は終わり、「成木街道」に突き当たりました。
 成木街道を左へ少し行くとバス停があり、時刻表を見ると何と2時間に1本くらいしかないバスがあと十数分で来るではあ〜りませんか。普通なら「ラッキー」とそれを利用する所ですが、今回は以前間違えなかった道を間違えて縦走を途中リタイアとなってしまったのでボーナスステージ(?)としてこのまま歩くことにしました。
 鉄道の駅まで2時間くらいは掛かりそうなので山間部の風景を眺めながら焦らず行きます。途中、成木市民センターの所で左へ行けば飯能方面ですが、飯能は遠すぎるので断念、右青梅市街方面を目指します。やがて突当りを左折して新吹上トンネルを通ります。歩道とガードレールがあるのですが、長さ600m以上もあり、すっ飛んでくるダンプカーの音が響くのでビビりきます。すっかり暗くなり歩くのが嫌になってだいぶ経つ頃青梅の市街地となり、更にひとがんばりで東青梅駅に辿り着きました。

 今回もGPSの御世話になりましたが筆者のハンディーGPS「GARMIN LEGEND」は樹林帯では「衛星信号ロスト」となって、頭上の開けた場所でしか位置確認が出来ません。従って、肝心の山中では役立たずの場面も多いのですが、知らない土地で車道に出てから駅等を目指す時にはかなり役に立っています(^^;。



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