2015年12月16日(木)晴 (JR・武蔵五日市よりバス)沢戸橋BS 754…830登山口入口835…922刈寄山931 (190) 36 (350) 47 (△687) …1159市道山1216…1340臼杵山1350…荷田子峠1504…1524荷田子BS(武蔵五日市へ) 148 (△795) 84 (△842) 74 (400) 20 (230) 体力度B 神経度A+ (歩行合計約7時間10分) ◇5万図 五日市戸倉三山は昔のガイドブック「アルパインガイド 奥多摩・奥武蔵・陣馬高原」(横山厚夫 1970)では「高水三山とともに奥多摩入門のコースとして古くから歩かれている」と紹介されています。しかし、距離・累積標高差を比べれば高水三山より難度はかなり上で、所要時間も大きく、適期(草が枯れ、かつ無雪)の今ごろは日が短いためスケジュールは結構タイトになります。高尾山くらいしか登ったことのない人に次の候補地として勧められるようなお手頃感はありません。そのためか、様々なガイドブックに紹介されている有名コースなのに意外とすいています。 戸倉三山縦走は2回行った記憶がありますがずい分昔の事です。個人的に山行記録が残っているのは1992年4月以降ですが、この山域の記録は最新でも15年前、2000年5月(市道山・臼杵山)です。その他刈寄山の記録は2件ありますが、三山縦走の記録は残っていません。つまり、核心部の峰見通りは少なくとも23年以上歩いていないと思われます。と言うことで、未踏のコースに近い気分で行くことが出来そうです。 武蔵五日市駅から沢戸橋までは歩いても30分くらいなのですが、駅前に出たら、丁度バスが入って来るところだったので乗車。沢戸橋BSから僅かに戻り橋を渡りすぐの分岐を左へ。 この道はダンプカーにビビりながら歩いた印象だったのですが、ダンプが通ってる気配なし。刈寄山登山口近くの採石場は廃用になったのかも知れません。車道が大きく右にカーブするところで左に廃林道のような山道が分岐しており、ここが刈寄山登山口かと思いました。しかし、小休止の後から5分ほど入った所に「刈寄山登山口」の指導標がありましたから、先ほど小休止した場所はさしずめ「刈寄山登山口入口」だったようです。 刈寄山登山口はややワイルドな感じ。登山口から沢沿いに進み、右手山腹をジグザグに登った後、小尾根上の道となり、早くもバテながらえっほえっほ登って行きました。周りが植林から雑木林に変わると、ひと踏ん張りで縦走路に出て、すぐ左の四阿の奥が刈寄山の山頂です。登山口から縦走路に突当たるまで、奥多摩の既設コースとしてはワイルドな部類の道でした。四阿でおにぎり喫食。 縦走路は刈寄山からまず南下します。右手にこれから通る峰見通りらしき山々の連なりが望めます。見下ろせば右下を車道が平行しています。下りついた鞍部には切通し状に車道が横断しており、指導標の標柱には「入山峠」の表示があります。先ほど見えた車道もここで合流していますが、通行止めゲートが入口を塞いでいます。この峠は以前バイクで越えた事があるり、そのときは峠道の五日市側の端からはすんなり入れたのに登って下った八王子の端には「進入禁止」の車止めがあり焦った記憶があります。 刈寄山の下りから峰見通り方面を望む。切通し法面の端から尾根に復し、少し進むとまた「入山峠」の表示が。たぶんこちらが本来の入山峠で先ほどの峠はさしずめ新入山峠と言ったところでしょう。ここは「奥多摩・奥武蔵・陣馬高原」(1970)に載っている写真では展望が開けた風景になっていましたが今は樹林の中の地味な場所です。 やがて鳥切場(とっきりば)ピークを左から巻く辺りでボンゼン山方面からの道が出合い、縦走路は西へ向きを変えます。鳥切場から市道山にかけて東西に伸びる尾根道が峰見通りで、10m間隔の等高線に表れるピークが10箇所以上もあります。前回の印象では、さほどのアップダウンもなく600m圏から700m圏へのんびり緩やかに登って行ったイメージでしたが、今回歩いて見ると巻道完備は送電線に近い鳥切場周辺だけで、殆どのピークを忠実に辿っていました。前回の頃は元気だったからアップダウンが気にならなかったのか、実際に巻道があったのかは定かではありません。 ところどころ展望もありますが、快晴ながら靄っていて比較的近い大岳山も霞みがちです。植林帯の道がしばらく続いた後、左側(南面)は雑木となり。やっと前回の印象通りの明るい尾根道となりますが、アップダウンをきつく感じたのは印象と異なりました。 やがて、右側を見ると大岳山の手前、谷を挟んですぐ近くに三角形の顕著な峰が。いや、位置関係からして臼杵山に違いないのですが、見た目現在歩いている尾根とは別の山塊に見え、尾根続きに見えないほど下って登るのかと思うとぞっとしました。 峰見通りから臼杵山方面を望む。後ろに御前山・大岳山。しかし、バテながらも笹尾根方面からの道が合わさる一歩地へ。一歩地から市道山へは大した登りでもないのですが、「市道山 0.1km」の標識から山頂まで100mどころの距離じゃない感じでへろへろになりました。 市道山山頂からは今日歩いた来た方面が見渡せました。標柱近くの低い岩に腰掛けておにぎり喫食。ここから臼杵山への道は2000年5月にも通っており、ものすごくきつかった印象があります。それに加え、先ほどの峰見通りからの視覚的ダメージもかなりヤバいものでした。しかし、ここまでほぼ予定通りの所要時間(指導標のコースタイム+α)で来ることが出来ましたし、よほどの遅延がなければ山中で日没が迫る時刻ではないので、焦らず行けばいいと言う気分になる事は出来ました。 市道山からの下りは長く、臼杵山への登りはきつかったですが、それは想像していた事だったので、へこたれずにこなせ、露岩帯も楽しみつつ登ることが出来ました。1時間24分の所要時間もほぼ予定通り。しかし、2000年5月の記録を見ると僅か58分でした。そのときは高尾山口駅からはるばる歩いてきたのでかなりバテていたはずですが、今よりは健脚だったのに加えて、天気予報が下り坂で、日の長い季節だったとはいえ市道山発が14時49分で日没の恐怖もあり、かなり焦って火事場の馬鹿力的要素も働いたものと想像できます。 臼杵山三角点峰(南峰)で調理パン喫食。刈寄山北西の尾根末端の採石場の向こうに五日市の市街地がかなり霞んで見えます。すぐ先の北峰へ行きその頂上南端から北東へグミ尾根を荷田子峠を目指して下ります。 急降下から始まり、その後もどんどん高度を落として行きます。20分ちょっとで右側が開けた伐採地となり、東方刈寄山方面がよく見えます。更に20分ほど行くと今度は左側の展望が開け、馬頭刈尾根、大岳山、御前山が望め、手前には秋川沿いの集落も見下ろせます。 グミ尾根伐採地より刈寄山方面を望む。予定の1時間より若干時間がかかって15時過ぎに荷田子峠到着。「奥多摩ビジターセンター」のサイトでは山中は暗くなるのが早いので、この季節は15時には下山するようにとのことでしたが、確かに樹林帯では暗くなりかけて来ました。荷田子峠からは盆堀側に下りて武蔵五日市駅まで歩くのが常でしたが、今日はその根性はなく、バスに乗りたいので荷田子側に下りることにしました。 荷田子峠まで来て里道まであと僅かと言うことで刈寄山の急登から装着していた皮軍手をザックに戻してしまいましたが、木につかまることが不可避な急な下りがありました。 里道にに出る手前に電気柵があって、門の開閉が必要でした。看板に「ポールのオレンジ色のネット部分を持ってあけしめしてください。グリーンのネットには電流か流れています。この部分は危険ですのでさわらないでください。」と表示されているのですが、ネットにオレンジ色の部分が見当たらず、ポールを掴んで開けるとネットがたるんで手に触れてしまうので、伊豆の死亡事故が思い出されてビビりました。しかし、何とか無事通過。 バス通りに出るとすぐに数馬方面行きのバス停はありましたが、五日市行きのバス停は150mくらい五日市側に歩いて橋を渡った所でした。その先に変てこなアーチが見えました。アーチは普通は橋にあり、道の両側に対を成しているものですが、グミ尾根の展望地からも1基のみが道を跨いで建っているのが見えて、何だろうかと疑問に思っていたのです。で、実態はやはり橋でした。斜めに道を跨いで道の両側とワイヤーで繋がっているようです。 予めバス時刻は調べてはいなかったのですが、幸運なことに、10分も待たずに1530のバス(前は1436、次は1606)に乗ることが出来ました。 この日、平日とは言え、山中で出会ったのは3人でした。標高の割に歩程が長く「展望抜群」とかの売り文句がないためか、多くのガイドブックに載っており東京からの交通の便も悪くないのにあまり人気がないようです。しかし、静かな山歩きが出来るだけでなく、好展望の場所や、露岩帯の登りが楽しめる箇所もありますし、峰見通り辺りは周りに見える山が現在地とほぼ同等かそれ以上の高さのためか市街地に近い割に妙に山深い雰囲気があり、非日常気分に浸ることが出来ます。峰見通り付近では有効なエスケープルートがないため天候や体調はそこそこ見極めたうえで出掛けるる必要がありますが、歩く価値の高いコースだと思います。 ▲項目索引▲ ◎トップページへ戻る◎ |