鳩ノ巣城山〜鍋割山〜日の出山北稜



                          1998年3月28日(土)晴

JR青梅線・鳩ノ巣937…城山1047…大楢峠1122…1230鍋割山1243…
         (300) 70(△760) 35 (720)   70  (1084)  15

1256御岳山・男具那ノ峰1302…1411日の出山1425…1600青梅線・御嶽
         (1070)   70   (△902)    95       (240)


                         体力度B 神経度B(歩行合計約6時間00分)
◇5万図 五日市
□筆者参考文献 「遊歩百山11」(森林書房)

 東京在住のハイカーは、奥多摩の御岳〜大岳山周辺は入門コースとしてひとしきり歩いた後、人出が多いのを嫌って、その後この辺とは、疎遠になってしまう場合も多いと思います。しかし、ガイドブックにあまり載っていないコースは意外とすいています。今回、そんなコースのひとつを歩きましたので、ご報告させて頂きます。ただし、草も雪も無い季節でないと一般向きではなさそうです。
 今回、選んだルートは、静かな山歩きを求めただけでなく、昨秋からの宿題解決の意味もありました。御岳−大岳山のメインルートは、尾根続きに鍋割山−男具那ノ峰を通らずに、その東側の山腹道になっています。これは、巻き道というよりも、登り下りが少ないだけでなく、水平距離もこっちの方が近いので当然の成り行きかも知れません。しかし、昨秋は山頂数稼ぎの目標を立てて、都民の森からはるばる縦走して来ました。そのため、大岳山からは、鍋割山−男具那ノ峰(御岳神社奥の院)を目指しました。ところが、鍋割山からやや右へ折れるのが奥の院方面であることは、指導標にも、はっきり示されているのにも拘わらず、何を血迷ったか大楢峠方面へ直進してしまったのです。標高900m位のススキの原(伐採地)まで下って、道が不明瞭になって間違いに気づき、日没が近いため未知のルートは危険と判断して、鍋割山より更に南の分岐点まで戻って、御岳方面へはメインルートを採りました。そこで、今回は、この日迷った大楢峠からの道を登りに使い、この日割愛した鍋割山−奥の院も辿ろうと企てました。大楢峠へは、海沢(うなざわ)から奥多摩霊園経由の良い道も通じていますし、鳩ノ巣から御岳山裏参道も使えますが、一番人に会いそうもない、鳩ノ巣から尾根伝いに城山経由で行くルートにしました。


 城山登山口はいきなり両手動員。


 鳩ノ巣駅から裏参道へ続く道を行き、鳩ノ巣渓谷の吊り橋を渡るとすぐに「城山登山口」の看板があります。始めの2mほどは、道を造成した際に出来たらしい苔むした露頭をよじ登ります。その後辿る踏み跡も藪混じりの急登で、先が思いやられますが、10分強登ったところの指導標のある分岐からは、奥多摩らしい歩き易い道になり、ちょっと拍子抜け。
 相変わらず急登が続きますが、ヒノキの植林が細くなり、やがて雑木混じりになる頃右手には小河内ダムも遠望出来ます。小河内ダムを、上からでなく、正面から遠望したのは初めてかも知れません。送電鉄塔の所で地図を開くと、だいぶ登ったつもりなのに、鳩ノ巣からホンの少ししか進んでないのでがっかりしました。
 城山からは、再び植林帯となります。ひとしきり急降下した後は、起伏が少なくなって、のんびり歩けます。やがて海沢方面からの道が合流すると、左の路肩が石垣で補強された遊歩道のような道になります。西側が伐採された地点からは正面には鋸山がやけに立派に見えます。


 大楢峠への尾根道からは鋸山が立派に見える。


 やがて、左手からくる裏参道に合流。大楢峠です。登山口から入ってからここまでは、人に全く会いませんでした。ここから、尾根左(東)側裏を巻く参道をそのまま行ってしまうと御岳へ到達してしまうので、100m位先、右手斜面がわずか凹状に傾斜が緩くなった所へ突っ込むと、ジグザグに稜線上へ続く踏み跡に乗る事が出来ました。露岩の出た地点で、稜線に出ますが、ここへは大楢峠から両手動員で直登することも可能に見えました。大楢峠で数人のハイカーを見かけましたが、皆さん裏参道組で、その後は鍋割山まで全く人に会いませんでした。御岳山は目と鼻の先なのに、素晴らしい!。
 道は明瞭で、始め稜線のわずか右(西)側を緩やかに登って行きます。その後、右手の傾斜がきつくなり、道は稜線へ乗り上げますと、傾斜の緩い反対(東側)斜面が問題のススキの原でした。原の上部からは、三ツドッケや川苔山等、多摩川左岸の山々がよく見え、また正面には大塚山のアンテナ塔が目立ちます。この辺は、今回、昼間、下から登ってもルートが不明瞭なくらいで、前回引き返したのは正解でした。


 踏み跡不明瞭なススキの原の北面は好展望。


 ここから、鍋割山までの比高200mほどの登りは、意外に長く感じました。今回はゆっくり登りましたが、前回縦走して来て疲れたところを必死に引き返したとき、足をつったりしなかったのはラッキーだったと思いました。この登りもルートはやや判りにくく、不明な分岐はとにかく上へ上へと辿って行きます。2つほど小さなピークを越えてひたすら登ると傾斜が緩んで雑木に囲まれた鍋割山に着きました。山頂からは木の隙間から、大岳山や御前山が見えます。ここから見た雪の残る大岳山は、写真で見た秘峰・帳付山(西上州)のような哲学的風貌でした。
 鍋割山から日の出山までは、指導標完備です。男具那ノ峰へは、露岩帯の急登ですが岩と立木の調和した風景は風情があります。山頂には、小さな石の祠がありますが、奥の院は一段下った所にあります。その先のテラス状の所からは、御岳集落や、日の出山が箱庭のように望まれます。


 男具那ノ峰からの下りから日の出山方面。


 ひとしきり急降下が続きますが、やがて水道施設の所からは、御岳集落に入り、遊歩道となります。神社から土産物店街は簡易舗装道で、その先から日の出山への道に入ると舗装は無くなりますが、相変わらず遊歩道です。この道は、日の出山山頂直下まで非常に平坦で、ハイキングと言うよりお散歩と言った風情です。
 好展望の日の出山の山頂は園地状に整備されて、いつもながら、賑わっています。ここからの下りは、琴平神社・吉野梅郷経由で青梅線・日向和田、あるいは金比羅尾根経由で、五日市線・武蔵五日市(下山路と言うより縦走路と言った方がいいくらい長い)と歩いた事がありますが、今回初めて、ガイドブックにあまり載っていませんが、最短で鉄道駅(青梅線・御嶽)へ降り着ける北稜ルートを使いました。この道も、残雪・草の両方無い季節限定です。所々木立頼りの急降下を繰り返して、尾根の末端、JR御嶽と御岳山ケーブルを結ぶ車道に光仙橋付近で出合うと、20分ほどの車道歩き(歩道付き)で御嶽駅です。



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